2009年07月24日 (金) 10:22 | 編集
小田急線の成城学園駅で新宿行きの区間準急に乗り換える。
車掌が「この準急が一番先に新宿駅に着きます」と案内したからだ。代々木上原駅で後から着いた千代田線直通の急行から下りたお客さんたちが、駆け込んでくる。確かに新宿行き急行には抜かれていない。こうして新宿駅に到着した。車掌の説明にウソはない。なぜこんな半端な準急が出来たのか。下りの準急に乗ってみてわかった。登戸駅まで急行の止まる駅は、下北沢、経堂、成城学園前駅しかない。途中止まる駅の少ない準急は「快適」なのだと思う。成城学園前駅で下りる私でさえ、これに乗る。全線で走らせてみたら
小田急はもっと活気ある路線になるだろう。
車掌が「この準急が一番先に新宿駅に着きます」と案内したからだ。代々木上原駅で後から着いた千代田線直通の急行から下りたお客さんたちが、駆け込んでくる。確かに新宿行き急行には抜かれていない。こうして新宿駅に到着した。車掌の説明にウソはない。なぜこんな半端な準急が出来たのか。下りの準急に乗ってみてわかった。登戸駅まで急行の止まる駅は、下北沢、経堂、成城学園前駅しかない。途中止まる駅の少ない準急は「快適」なのだと思う。成城学園前駅で下りる私でさえ、これに乗る。全線で走らせてみたら
小田急はもっと活気ある路線になるだろう。
2009年07月10日 (金) 10:40 | 編集
その男、他人の迷惑顧みず、勝手に自分の用事で看護師を呼びつける。「おおい、手洗い」朝飯時、看護師は大変忙しい。「何やってんだ」
彼は待ちきれない。「よし」とベッドを下り、床に置いたオマルに跨る。私はこれから朝食をとる。塩分〇のおかず、コッペパンを半分かじって放り出す。窓の外に富士山が見える。一時の安らぎ。隣りは「延命治療はいらぬ」と三十過ぎの息子が来る度に繰り返す奇妙な爺さん。
「持ってきたよ」と渡した本は「漢字パズル」
「これは漢字パズルじゃ」「おれが欲しいのは、『漢字・・・・』「?」隣りのョーカドーにあるよ」「おれは会社を抜け出してきたんだ、そんな暇はないよ」「こんど持ってくるから」とかえっていった。二日後「はい、これ」「なんだ、これは漢字パズルだ」つながらない親子の会話。
廊下側の男、定年後タクシードライバーとなる。この娘が父親をタバコに引っ張り出す。玄関の外で吸ってくる。カテーテル入れた後治まりが悪く、再手術待ち。
向かいの爺さん、廊下を行き来する看護師に用を言いつける。ぼそぼそ半日家内と娘と話している。隣の一番若い男、50ぐらいか。一日中パソコンを打っている。彼が一番重い糖尿病患者だ。
さて、私今は血栓が脳に飛ばないよう治療を受けている。落ちついたら持病のアスペルギルスを治さねばならぬ。この特効薬はない。肺と心臓、私の命は何時まで持つか。疫病神に聞いてみようか。 (了)
彼は待ちきれない。「よし」とベッドを下り、床に置いたオマルに跨る。私はこれから朝食をとる。塩分〇のおかず、コッペパンを半分かじって放り出す。窓の外に富士山が見える。一時の安らぎ。隣りは「延命治療はいらぬ」と三十過ぎの息子が来る度に繰り返す奇妙な爺さん。
「持ってきたよ」と渡した本は「漢字パズル」
「これは漢字パズルじゃ」「おれが欲しいのは、『漢字・・・・』「?」隣りのョーカドーにあるよ」「おれは会社を抜け出してきたんだ、そんな暇はないよ」「こんど持ってくるから」とかえっていった。二日後「はい、これ」「なんだ、これは漢字パズルだ」つながらない親子の会話。
廊下側の男、定年後タクシードライバーとなる。この娘が父親をタバコに引っ張り出す。玄関の外で吸ってくる。カテーテル入れた後治まりが悪く、再手術待ち。
向かいの爺さん、廊下を行き来する看護師に用を言いつける。ぼそぼそ半日家内と娘と話している。隣の一番若い男、50ぐらいか。一日中パソコンを打っている。彼が一番重い糖尿病患者だ。
さて、私今は血栓が脳に飛ばないよう治療を受けている。落ちついたら持病のアスペルギルスを治さねばならぬ。この特効薬はない。肺と心臓、私の命は何時まで持つか。疫病神に聞いてみようか。 (了)
2009年02月22日 (日) 17:28 | 編集
一九六〇代後半ごろから、欧米先進国から「日本人は働き過ぎだ」という非難の声が高まってきた。
低賃金で、休日も碌に休まず働いて作った製品が、長年欧米諸国が支配した海外市場を食い荒らすのはフェアーでない、というのだ。
わが国の企業が週二日制に移行するのは、時間の問題と見られたが、この競争社会で一番に手を上げる会社はいない。
そこで、私がいた会社では、過渡的措置として土曜日の「半舷上陸」なるものを実施した。半舷上陸は旧海軍用語で、乗組員の半数づつを交代で休暇を取らせる方法だ。
始まってみると、意外なことに国内、海外とも取引先からの電話やテレックスは極めて少ない。皆、バカ話をしながら、普段なかなかやれないファイル整理で時間をつぶす。
私は、時に一人で近くの皇居前広場へ出掛け、ベンチで昼寝をした。
女子社員は一つの課から一人だけ出社する。
「Mちゃん、お昼、オレと付き合わないか」
と独身のS君が甘い声をかける。
「ハイ」と返事をしたMちゃんの頬が赤らむ。残された妻帯者四人は面白くない。
「よし、『山水楼』の中華行こうぜ」
とKさんが隣りの課の二、三人を誘う。今日はどちらの課も課長は上陸中で気楽だ。
「ビールまで飲んで会社へ戻ったのが二時過ぎ。Mちゃんたちはまだ帰ってない。
「あいつら、どこへ行きやがった」
怨嗟の声が届いたのか、二人は別々に戻って来た。
「遅くなりました。ハイ、お土産」とMちゃんは小さいピンクの菓子袋を皆に配る。
効果の見えない半舷上陸は、半年も保たなかったと記憶する。
今(〇九年)から振り返ると、忙しいなかにもサラリーマンにゆとりがあったのは景気が上昇し続けたお蔭だろう。
2009年01月29日 (木) 17:53 | 編集
十五年前の旅行手帳にこんなことが書いてあった。
昨年の暮れも押し詰まった二十日過ぎ、突然家内が「正月に暖かい南九州か沖縄へ行きたい」と言い出した。
急に「旅行したい」と口にするのは、家内のいつもの癖で、普段なら別に驚かないが、正月旅行を今頃から申し込んでも、取れる訳がないではないか。
「おばあちゃんが亡くなって年賀状は出さない。こんな自由なお正月は結婚以来初めてでしょう」
と家内が話しを詰めてくる。なるほどその通りだ。でもアレンジするのは私だ。バタバタ旅行社に電話を掛け捲るのが厄介だという気が先に立つ。倍の正月料金、劣悪なサービス、うんざりする人の群れ、と並べ立てて見たが、家内の決意は固い。ままよ、と旅行社に電話して見ると、これが生憎即座にOKなのだ。
十二月三十日、「新春くつろぎの九州四日間」の旅。鹿児島行きフライトは勿論満席。「嬉しい、嬉しい」を連発する家内の晴れやかな笑顔に釣り込まれて、私も楽しく行こうという気になっていく。
正月料理作りや掃除に追われるよりいいかも知れない。
一日どっぷり西郷さんとお付き合いし、本場のさつま揚げや豚骨ラーメンの立ち食いから始まり、日南海岸、霧島温泉、雲仙、長崎と、見て食べて寝る、の作業は順調に進んだ。
四日目の最後は、明治の香りがただようグラーバー邸のカフェで、特製の苦味の強いコーヒーを味わいながら、旅を締めくくった。
「どうだった、喧嘩しないで行って来た?」と留守番の長女。
「大満足、九州ッテ素晴らしい、また行く」と未だ興奮覚めやらぬ家内。「意外に楽しかったよ」とつくろうすね者の私。
息子の就職、次女の結婚式と予定通り過ぎ、また十二月がやって来た。
昨日(十日)突然家内が、「今年は海外旅行しなかったわね」と不気味な独り言。
「暮れの内に帰ってくれば安く済むでしょう、香港に買い物に行きたいなあ」
おお一年の計は暮れにあるか。
2008年11月24日 (月) 14:10 | 編集
常夏の太陽を求めて参加した「マレーシア三都周遊の旅六日間」も最終日を迎えた。
暮れも迫ってから、正月に暖かい南九州へでも行こうかーと、家内と相談していた。その矢先、Kツーリスト社の旅行案内誌「旅の友」新春号が届いた。
「マラッカ、クアラルンプール、ペナン全部五つ星ホテル宿泊、食事付きで七万円」とある。これは安い、と飛びついた。
ツァーには、四カップル(皆五十歳以上)が参加した。
ホテルはRiviera Bay Resort(マラッカ)、Prince Hotel(クアラルンプール)、Penang Mutiara Beach Resort(ペナン)と、確かに一流だ。だが、「食事がいかんよ」と、口々に現地日本語ガイドのチョウさん(五十がらみの中国人)を責める。
初日から毎日一回は炒飯が出る。大抵小えびと香菜を混ぜたパサパサのインディカ米だ。濃い香辛料が鼻について食欲が湧かない。
最終日の夕食は別料金だから、皆好きなものを食べたい。
「今夜は炒飯なしだよ」毎回文句を言いながらもよく食べるTさんが注文をつける。
「はい、判りました」素直に応じるチョウさんだがー
案内されたのは、二、三百人も入れそうなテント張りの屋外レストラン。十軒ほど並ぶ店先には、どれも漢字のメニューが出してある。
「焼ソバ、湯麺、肉饅頭::どうですか」と注文を促すチョウさん。
出て来た料理は皆口に合ったようで、片端から食べる。「うまいなあ」全員満足の態。
そこへチョウさんが、大皿に山盛りの炒飯を、テーブルの真ん中にドンと置いた。
「これ、K社からサービスです」
八人が暫く無言で大皿を睨んでいたが、「折角だから」と、これも口煩いKさんが手を伸ばす。
「これはいける」「ほんと?」と、一斉に皆のスプーンが舞い、忽ち大皿は空になった。 (了)




主な作品:
『米原まで』
「『第三の男』と共に」
萬年橋/『ぞうさん』の歌/雷さま/天使の笑顔/カスバ/菩提樹/アンパン/住吉町二丁目交差点/私の幼稚園/お邪魔虫の一日/おさるがかいた舟/私のお通夜/アフガンのブドウ/沙漠のバラ など